ファンキージャム・ストーリー ニュージャック編 第3話

六本木も

私は横田だけ通っていたわけではないのです。週末は六本木でダンス上手を探すのですが、これが一番難敵です。何しろ店が多いし人も多い、そしてお金もかかる。

理想のディスコは簡単に見つけることができますが、ダンス上手を見つけるのはかなり大変なのです。そこは情報が多い従業員と友達になるとなんとかなるものですが…。

当時、六本木でブラックミュージック専門の店は数件ありました。エンバシーなど老舗もあるのですがセリナ向かいのジェスパが一番だったのです。

ソウルミュージック全般ではなくダンス向きのソウルミュージックだったからです。あれほどダンスにこだわって選曲していた店はめずらしいのです。従業員にダンス好きが多かったからでしょうか?

DJはマービンにユタカです。ユタカは渡米して有名になりましたので、ご存じの方が多いと思います。彼らの選曲をウィナースでチェックして購入したこともありました。

余談になりますが、ユタカが渡米する前日だったと思います。彼の自宅で話しをしました。私は常に生活がやっとの経済状態でしたので、十分な援助もできずに情けなく思っていましたが、成功してくれてとても嬉しかったです。

その日は多くを思い?、駅が4ツ位ですから歩いて帰ったことを覚えています。しかし個人的には日本でDJをしていて欲しかったのです。それほど日本のディスコの音楽事情は悪かったのです。

一般のディスコのお客はダンスミュージックを知らないのです。テレビやアイドルの曲がダンスミュージックと思っています。少し知っているとしてもビルボードのヒットチャート位です。

一般客の多いディスコでは知られている曲でないと踊らないから、DJも有名な曲しかかけなくなります。

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週一で踊りにきて、リズムだけの曲でダンスを踊っても上手になるわけがないのす。そのうちダンスに飽きてしまう。それとも目的が別なのかは私の知るところではありません。

その悪循環がディスコを駄目にするのです。それがファンキージャムを開校した理由の一つでもあるのです。一人でも多くの人にダンスを理解してもらいたかったのです。

芸能界のショーがダンスと思っているうちは何年たっても本当がわかりません。私が踊り始めた60年代も同じでした。新宿の人気クラブは大勢がそろってステップダンスするような所が人気でした。アンブラップ歌手の振付けダンスの真似みたいなのが多かったのです。

今、若者がマイケルのダンスを真似るのと似ています。ただ踊る曲はリズム&ブルースのソウルだったので、同じ振りでも妙にソウルフルな人もいました。

ダンスは音楽が命です。どんなに上手なダンサーでも音楽が駄目ならシェイプアップ体操と同じように踊るしかなくなってしまいます。曲調のないビートだけの曲では単調な動きしかできません。それが前乗りの速いビートだったりすると跳ねるだけしかできなくなります。

振付けダンスやディスコダンスは少し踊れば矛盾が生まれます。永遠に終わらない振りだけを真似ても、基本のダンスが踊れなければ振付けも生きないからです。

カラオケで歌が上手になれば演歌やソウルを歌って見たくなるように、ダンスにも抑揚やアドリブなど自由に表現できるソウルダンスの型が必要なのです。


※ダンスには踊りの型が必要

ダンスにはダンスミュージックが大切です。そんなことは知ってるよ!と誰でも言うでしょう。でもダンス向きの曲はダンスの型があるから流行ることを知ってますか?

ビートだけでは単調に踊るしかなくなります。曲調をどう踊るかがダンスなのです。同系のダンスの型を混合させて自由に踊ります。だから曲調に合う踊り型が多数あるのです。

※DJの条件

クラブのDJは踊らすことが目的です。それとダンス上手を作らなくてはいけないのです。当時、有名になったDJはアンブラップが好きなダンスの曲を知っているからです。

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DJはダンス上手が行かなくなると流行のダンスの曲がわからなくなります。ダンス目的のお客が減り相手探しだけの低俗な店になります。

多くのクラブは設備を良くして一般の男女の社交場を目的にします。その方が一般のお客が多くなり店は繁盛するからです。

しかし、ダンスを知らないお客はメジャーな曲しか踊りません。店の方針に合わせるようにDJはテクニックばかりでダンスの勉強をしなくなります。

その上、ヒップホップの流行でパフォーマンスDJが増えダンス好きは行かなくなりました。その悪循環が日本だけでなく世界のクラブで起きています。クラブダンスの向上はDJ次第なのです。

クラブのDJは踊る人が少なくても踊れる曲で教育するのが使命です。ダンスミュージックを知らないDJが増えたことが、今,ダンスを知らない人が多い原因の一つです。本物のDJは何処へいったのでしょう。